納骨堂は一般的なお墓とは異なります。遺骨を納める点は同じですが、それ以外はまるで違います。分かり易く擬えると、お墓が一戸建てであるのに対し、納骨堂は集合住宅です。違いは見た目や大きさだけではありません。お墓と言えば、納骨して以降、半永久的に遺骨が納められることになります。墓地の購入には、代々の所有の意味も含まれているのです。それに対し、納骨堂は契約期間という概念で捉えることができます。つまりはレンタル形式であり、その契約期間が過ぎれば専用スペースから移動させられ、赤の他人の遺骨と纏められて、供養されることになります。契約期間には斑があるものの、33年というケースが多いとされています。というのも、納骨堂の思想上の背景は仏教であるため、仏教の教えに則っているからです。仏教では仏に変わるのに要する年月を33年と説いています。
もう少し細かく違いを見ていくことにしましょう。お墓の場合、遺骨を納めるスペースは共通しています。それはカロートと呼ばれるスペースです。お墓の構造は特別仕様でない限りはどれも同じで、必ずカロートが設けられています。このカロートは地下部分と接する箇所に設けられているため、長年納骨し続けると、遺骨に湿り気が付いてしまうという欠点があります。他方、納骨堂はロッカー形式を基本とするため、カロートのような特別スペースはありません。一部の納骨堂は仏壇形式が採られており、その下部に納骨されることもあります。納骨堂はお墓のように、遺骨を湿気で傷めることがありません。室内保管、室内管理で丁寧に扱われます。そこが納骨堂の最大のメリットなのです。
お墓と納骨堂とでは、様々な違いが存在します。その一つが、建立費用の有無でしょう。当然ではありますが、お墓を立てるとなると、まとまった予算を計上しなければなりません。それに対し、納骨堂は墓石を立てる必要も無ければ、墓地を購入することもありません。初期費用を相当な安価に抑えることが出来るのです。具体的には、お墓の場合、平均費用が125万円前後とされています。この金額を安いと感じる人はいないでしょう。購入にあたって相応の覚悟が必要になります。
初期費用に加え、両者にはメンテナンスに関する違いも見られます。お墓は屋外で管理されることになるため、定期的に清掃したり、磨いたりしなければ、劣化を早めてしまいます。草むしりや墓石の清掃は、お墓参りの際の必須作業の一つになっています。他方、納骨堂の場合、清掃のような面倒な作業を、利用者が行う必要性はありません。もちろん納骨スペースの手入れは行わなければなりませんが、それは管理者である業者の仕事です。しかも屋内管理ですから、無造作に扱われる心配もありません。常に清潔であり続けるのです。
お墓参りの方法、時間帯も、両者では異なります。お墓の場合、墓地を訪れるのに合わせて、線香、ろうそく、ライター等を準備しなければなりません。それらを持参し、現地でお墓の体裁を整えて、手を合わせます。但し墓地を訪れるのに時間帯を気にする必要はなく、自由に選ぶことが出来ます。他方、納骨堂に向かうのに、持参しなければならないものは特にありません。納骨スペースにはろうそくを模したライトが備えられており、それを灯すことで代用できるのです。一部の利用者はお墓のように線香を使用したいと思われるようですが、そうした方々のために、参拝室を設けている納骨堂もあります。利用時間帯に関しては、お墓のように自由に出入りすることが出来ません。納骨堂のデメリット、不便な点とも言えるのですが、管理会社の営業時間内の利用に限られるのです。