花をいける際に大切なのは、「水揚げ」と言われています。どんなに素晴らしい作品を作る華道家であっても、植物を長持ちさせられなくては良い作品とは言えません。切った植物を生き生きと長持ちさせるには、さまざまな方法があります。
最も基本的な方法は、「水切り」と呼ばれる方法で、全ての花材に通用すると言われています。水中で枝を切ることにより空気の侵入を防ぎ、同時に水圧によってすばやく吸水させることができます。なるべく深いバケツに水を張り、枝や茎の根元を水中に浸します。そのまま水中で根元を切り、5分ほどそのままにするだけのシンプルな方法です。ハサミで切りにくい繊維の場合は、手で折る「手折り」の方法で対応します。茎の堅い植物の場合は、「湯揚げ」という方法を用います。水揚げと基本は同じですが、作業は水中では行いません。まず初めに、茎よりも上の花や葉の部分に湯気が当たらないように、新聞紙などで包みます。根元をそろえて水平に切り、器に張った熱湯に切り口を3分ほど浸します。その後に水に浸け、熱で変色した部分より上を水中で斜めに切り、「水揚げ」と同じように扱います。茎が細い場合や花木の場合は、木づちで根元を叩いて吸水面積を広げ、逆に幹が太く水を吸いにくい場合は、根元の皮部分をむいて切り込みを入れましょう。
他にも、ササなどの植物は酢に浸すこと、クレマチスやアジサイなどは一度焼きみょうばんに浸けることが効果的とされています。水揚げ用のポンプを使う場合もあり、スイレンやハスなどの水生植物に使用されます。植物の特徴に合わせて、最も長持ちできる方法を選びましょう。迷った場合は生け花専門家に相談をして、指示を仰ぐことがおすすめです。