歴史

古代の日本では、既に土地の専有という概念が広まっていたと考えられています。これは歴史書を見ても明らかな事実です。

例えば漢書を繙くと、そこには当時の日本の有力部族が「自分たちの土地」を守るために中国に朝貢していた事実が記述されています。

彼らは部族同士で常にいがみ合っていたわけですが、その根本には土地の奪い合いがあったのです。現代とは違って法的保証が無い中で、武力に頼るしか方法がありませんでした。

但しこの頃の土地所有は個人単位ではなく、部族単位であったことは特筆に値します。個人単位に変わるのはずっと後の時代のことなのです。具体的には、戦国時代に個人所有の概念が生まれたとされます。

卑弥呼の時代も大和朝廷の時代も、土地は公のものでしかなく、全ての人民が公民とされました。つまり戦国時代に入るまでは、土地は国家が所有していたと言えます。これは当時の租税制度とも深く関わっています。班田収授という制度は、国の土地を借りて食料を生産するという形をとっていたからです。

それが一転したのは、墾田永年私財法の制定以後のことでした。この法は開墾を目的としたものですが、事実上個人の土地所有権を法で定めることになったのです。こうして「私有地」が拡大し、次第に荘園制度が出来上がっていきました。荘園制度は大名の誕生に繋がり、延いては国家から独立した戦国大名同士の抗争へと発展したのです。

しかし日本の私有地制度は豊臣秀吉の登場をもって頓挫することになります。秀吉は中央集権を狙って太閤検地を行い、中央政府が土地を各大名に貸し与えるという形をとったのです。私有地が公の地に戻った時代でした。

そして現代では、民間の人間であっても土地や建物を所有したり、賃貸として貸し出したりすることが可能となりました。手頃に借りられるアパートもあれば、高級賃貸として好まれるタワーマンションやデザイナーズマンションもあります。