今では世界でもトップレベルともいえる日本の食品包装技術ですが、その発端は無に等しい状態の終戦後から始まったと言われています。その頃はまだ、豆腐は鍋持参で、醤油やお酒も瓶持参で買いに行った時代です。それが復興という食糧増産必至の状況から次々と新しい技術をうみ改良発展していったのです。もちろんはじめのうちは欧米からの技術導入で開始されたものが、食品包装技術に限らず、日本人の勤勉さ、改良意欲に後押しされ目覚ましい発展をとげていったのです。一番わかりやすい例がラーメンの包装。今でも使われている即席ラーメンの包装は新包材といわれるポリセロが最初でした。防湿性にすぐれ、麺ばかりでなく粉末のだしや調味料の包装用にも使われ、そのほかポリ塩化ビニリデンという材料で作られた包装でハムやソーセージの包装が可能となり、日本の食糧難を乗り越えるきっかけとなったばかりか、いまや世界的な食品包装のトップランナーとなるベースを築き上げていったのです。20世紀後半にはさらに新しい包材と言える延伸ポリプロピレンや延伸ナイロンの出現で加工食品流通が大きく拡大され、OPP袋だけでなくプラスチック包装も発展を遂げていきました。まさに日本人の面目躍如と言えるような発展ぶりで、その最たるものがまたやラーメンに関係した「カップ麺」の出現ではないでしょうか。今や世界的に好まれる食文化を創造するまでに発展を遂げてきたのです。欧米からの技術導入では始まった食品包装は、冷凍・冷蔵食品への導入で、レトルト食品や冷蔵食品が生まれまさに食文化創生と言ってもいいのかもしれません。その後、石油危機等による原材料入手難やプラスチックごみ問題で新たな課題も出てきていますが、これもきっといい方向での解決策を見出してくれることでしょう。