炊き上げた後の米飯を保存できる容器は、日本人に待望されてきました。特に戦時中は兵士が望んだと言われています。当時は缶詰として保存する他なかったのですが、普及しなかった理由は面倒だったからではありません。戦時中は食糧管理法が制定されていたため、米穀類の取引が活発ではなかったのです。戦後は次第に流通するようになり、手軽に米飯を食べられるような包装材の開発が急がれました。しかしそこには食品衛生法の大きな壁がありました。米飯の製造過程において、防腐剤を使用することが出来なかったのです。つまり包装時に加熱殺菌するしか道はありませんでした。米飯は過熱し過ぎると風味が失われるため、包装材は耐熱性、気密性、遮光性を有したものでなければならず、開発には試行錯誤が繰り返されました。その甲斐あって、複合プラスチックフィルムが開発され、レトルトパウチ食品の技術と組み合わさることで、「レトルト包装米飯」なるものが登場したのです。